2021年某日、一泊二日の出張のためにビジネスホテルを予約したんだけど、ホテルのエアコンが全く効かなかった。
ホテルの立地は東北の豪雪地帯で、早朝は-6℃の寒冷地帯。
生命を危機を感じたんだけど、なんとか生きて次の日を迎えることができた。
ここで頭をよぎったのが「ホテルのエアコンが壊れているのに宿泊費を払う必要があるのか?」という疑問だった。
あってはいけない事だけど、もしも宿泊したホテルのエアコンが動かなくて返金を請求したい人がいれば参考にしてほしい。
【対処法】宿泊約款を武器にする
宿泊約款とは、ホテルと宿泊客の間で結ぶ宿泊に関する契約。
要約すると、ホテル側は「宿泊客に快適な空間を提供する約束」、宿泊客側は「行儀良くホテルを利用する約束」することを指している。
つまり、快適に過ごすことができなければ宿泊客は、ホテル側に契約の債務不履行を訴えることができるんだ。
対処の手順
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エアコンが効かない旨をフロントに連絡
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対処してもらえば解決、対処してもらえないなら納得ができるまで交渉
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改善が全く無ければ全額返金を請求
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最終的なホテルからの回答を待つ
基本的な手順は上記の内容でOK。
ここからは私が実際に受けた仕打ちを書いていく。
22時にエアコンが動かなくなった
18時にホテルにチェックインをして以降、ホテルの一室で優雅に任天堂Switchの大乱闘スマッシュブラザーズをプレイしていた。私のキングクルールが数多の敵を倒し続けていた時に事件は起こったんだ。
22時にエアコンから「ボッ…ボッ…」という音がして、突然にエアコンの電源が落ちてしまった。。
古めのエアコンだったから時間を空けて、再起動するもエアコンは全く動く気配はない。
今日宿泊したホテルの部屋の暖房が動かなくなった😨
— すずき@ゴリブロ (@suzuki_ys) January 19, 2021
氷点下の室内で寝るとか凍死もので辛い pic.twitter.com/iinQARBd6e
スマブラなんてやっている場合じゃなくなって、自分の命の危機すら頭にチラついてきたから慌ててフロントに駆け込むも誰もいない。よく考えたら私が止まったホテルは無人ホテルだった。悲しみ。
無人ホテルだから、管理会社に連絡
私が泊まったホテルは夜間の従業員を常駐させない無人ホテル。
フロントに到着するも当然に従業員はおらず、フロントのカウンターには「緊急時はコチラの電話番号までご連絡ください」の立て札。
すぐに記載されている電話番号まで電話をかけた。
管理人O氏「もしもし、株式会社☓☓です」
私「もしもし、今日ホテルの〇〇号室に宿泊している者。部屋のエアコンが動かなくなってしまいましたので電話しました」
管理会社O氏「本当ですか?」
「おい、突然に疑うなや!」と言いたい気持ちを心にしまって電話を続ける。
私「はい。今日の夜は冷え込んでいるので何とかしていただきたいのですが、私はどうすればいいでしょうか?」
管理人O氏「その部屋のエアコンは古いので、10分くらい休ませたら点くかもしれませんよ?」
おいおい、質問を質問で返すとはいい度胸だな!
しかも「かも」でコチラを納得させようとする気概。なかなかの強者と見て間違いない。4年間営業マンをして働いている私の勘が、相手の話し方と態度で強敵だと告げている。
私「私もそう思って何度か再起動を試みたんですけど、全く動かないんです」
管理人O氏「そうですか…。エアコン無しじゃ…キツイですかね?」
こいつは何を言っているんだ?(震え声)
クドいようだけど東北の豪雪地帯で、時期は1月。寒くないはずがない。むしろ寒さで命を落とす可能性すら感じさせる温度だぞ。
こいつ!私の命を狙ってやがる!!
私「明日の朝の気温は-6℃らしいです。私の感覚では十分に命を落とす気温だと思うのですが、管理人さんにとっては寒くないんですかね?」
皮肉たっぷりで言ってしまった。
可能な限り真摯な態度を取ろうと思っていたけど、命の危機を感じ始めていたから少々強く言ってしまって後から後悔している。ごめんね折笠さん。
管理人O氏「そうですよね…。でも、私達管理会社は他県にいるので、次に従業員がホテルに向かうのは明日の8時になってしまうんです。他の客室にも空きがありません。なんとか我慢してもらえませんか?」
私「対応できないことは分かりました。今回のトラブルについて、明日にでも決済権のある方から連絡をもらえますか?」
管理人O氏「はい。間違いなく、明日こちらから連絡いたします」
結局エアコンは直らず、客室の移動も叶わなかった。
極寒の部屋で一晩を過ごすと考えると憂鬱すぎて怒りも感じなくなる。いつも怒っているような人は冷蔵庫にブチ込んでおけば怒らなくなるのかなぁ…とか意味もないことを考えていた事だけは今でも覚えている。困ったときって意外と冷静にいられるよね。
凍えないように風呂で寝た
結果としては極寒の部屋で寝ることはなかった。
なぜなら、お風呂で一晩を過ごしたからさ!!
お湯を浴槽にチョロチョロと入れ続けて、快適な温度に保つことで体温の低下を防いだ。
結局、0時~7時までの7時間の長風呂を決めこんで風呂をあがる頃には、身体中の皮膚がふやけていた。足の皮なんて齢70歳の足と言われても納得がいくような仕上がりで、起床した一発目で目に入ったから一瞬で目が冷めてしまった。こんなに心臓に悪い起き方は他にはないだろう。
浴槽の中で一晩を過ごしたから身体は固まっていた。膝を伸ばすと痛みが走っていたので、今考えるとエコノミークラス症候群になりかけていたかもしれない。
兎にも角にも、無事に翌日を迎えることが出来たことに嬉しさを感じたのは初めての経験だった。
こんな新感覚の出会い方は今後経験したくはない。
翌日に管理会社から電話をもらう
奇跡の朝を迎えて、出張の目的を果たすために取引先に向かった。
午前中の商談を無事終えて、昼食をとっていると見知らぬ電話番号から着信が鳴った。
私「もしもし」
管理会社S氏「わたくし、株式会社☓☓に者です。昨日は不便な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした」
電話をしてくれたS氏は腰の低そうな女性だった。
まさにクレーム対応は慣れています感が出ていて、BtoCの商売は大変だなぁ…と一瞬思ってしまった、が忘れてはいけない。私は今回被害者だったんだ。
これは凛とした態度で立ち向かわなければなるまい。例え相手が善人だったとしても…。
管理会社S氏「今回の件なのですが、弊社は返金対応することは出来ません。何卒ご理解いただけないでしょうか?」
前言は撤回だ。
コイツ!謝罪一つで全てを無かったコトにしようとしている!全く善人ではない!柔らかい物腰で被害者を懐柔しようとしているクレーム対処のプロだ!!
緩み始めていた気持ちを引き締めてこちらも体操せねばなるまい。
私「返金の対応ができないというのは、御社の決まり事なのでしょうか?」
管理会社S氏「そうなんです!私じゃどうすることも出来ないんです。ご理解いただけますでしょうか?」
私「宿泊約款には、ホテルの宿泊時に宿泊客に損害を与えた場合は賠償する旨が書いてありますけど、今回の件は私に対する損害とは言えないのでしょうか?」
管理会社S氏「…」
私「私は契約に明るいわけではないのですが、エアコンが壊れて快適に宿泊できなかった事は損害と言えると思います。これは契約の債務不履行には該当しないのでしょうか?」
管理会社S氏「それでは宿泊金額の半額をQUOカードで返金するというのはいかがでしょうか?私の自腹で対応いたします」
おいおい、言ってることが全然違うじゃないか!
さっきは会社の決まりで「返金することはできない」と言ったのに、責任者に相談するでもなく自腹返金の提案を持ち出してきた。
しかも現金じゃなくてQUOカード。理由は分からないけどQUOカードなんて使いにくいもので返金されても困る。
自腹というのは多分嘘で、おそらくしっかりQUOカード購入費を経費で落とそうとするはずだ。決して真摯な対応とは言い難い。あわよくばコチラがその提案に飛びつくか、良心の呵責から泣き寝入りをすることを狙っての回答だったのだろう。
管理会社から連絡がきた
— すずき@ゴリブロ (@suzuki_ys) January 20, 2021
・基本的にホテル側のトラブルでも返金・割引の対応はしていない(オーナーからの言伝)
・あまりにも申し訳ないので宿泊費の半額を電話担当者が負担してくれる
・ただし返金はQUOカードのみ
QUOカードを経費にする気満々やんけ!
どこか消費者をコケにするような対応だと感じる。そして私の正義の心が「そんな対応を許すな」と叫んでいる。
この瞬間に全額返金されるまで戦い抜くと決意した。
私「先程は「自分ではどうしようもない」と言っていましたけど、どうして急に自腹で返金していただけることになったんですか?上長の方に一度相談したほうが良いのではないですか?」
管理会社S氏「そうですね。一度確認して折返し連絡いたします」
しまった。こちらから相手に退路を与えてしまった。
次はさらに契約に詳しい人間が出てくる可能性が高い。こちらも改めて宿泊約款に目を通して準備をしておかねばなるまい。
毎回違う人が対応する
このあとS氏以外に2人から電話があって、同じような問答を繰り返した。
みんな口を揃えていっていたのが、
- 返金の対応は会社のルールでできない
- 他の宿泊客にも同じ対応をしている
- 返金するとすれば宿泊費の半額をQUOカード
対応者を変えるなら法律や契約に少しは詳しい人間が出てくると思っていたが、出てくる対応者の反応はすべて同じだった。
おそらく前の担当者からの引き継ぎもしておらず、宿泊約款の内容の話をすると「確認して折り返します」の繰り返し。
大きい会社じゃないと法務関係の担当者を置くメリットも無いから、当然かも知れないけどクレームの対応としては下の下だという印象を感じざるを得ない。
「契約約款」と「契約の債務不履行」でゴリ押し
最終的にエリアマネージャーなる人物から電話があって解決した。
管理会社W氏「ご迷惑をおかけしております。私エリアマネージャーのWでございます。」
今までで一番まともそうな話し方だった。何が一番違うかって、まず自分の名前を名乗るところだ。
自分が何者かを最初に伝える。当然のマナーが素晴らしい対応に感じるのは、前の対応者の話し方がメチャクチャだったからに他ならない。
これは安心感もマシマシ。この人はまともに違いない。
管理会社W氏「弊社は返金対応は致しかねます。何卒ご理解の程よろしくお願いいたします」
お前もかっ!!
間違いない。この管理会社はマジでやばい。しかし、相手はエリアマネージャーだ。決裁権は必ずあるはず。コイツを論破すれば全て解決だ。
私「前の方にも申し上げましたけど、宿泊約款には宿泊客に損害を与えた場合に保証をする旨が書かれていますよね?今回の件は契約の債務不履行に該当すると思いますが?」
管理会社W氏「…わかりました。では半額をQUOカードで返金いたします」
私「エアコンが効かない-6℃の部屋の中で一晩過ごした損害は半額で済むとは思いません。現金で全額返金をお願いします」
ここまでコケにされているのだから全額返金が絶対条件だ。絶対に負けることのできない戦いがここにはある!
ここからは「できない」「対応してください」の会話のドッヂボールの繰り返し。3~4回はこのやり取りを繰り返したと思う。
しかし、ついに相手が折れる瞬間が訪れた。
管理会社W氏「…わかりました。全額を現金で返金いたします」
私「お願いします。返金はいつ頃までにしていただけますか?」
管理会社W氏「2~3日以内で対応しますが、振り込みにしたいので口座番号を教えていただけますか?」
私「わかりました。今から口座番号を申し上げます」
ホテルの管理会社との激闘はこれで完全に決着。
宿泊約款の記載内容と違っているから契約の債務不履行だ、という圧倒的な武器を振りかざすことで勝利をおさめることが出来た。
管理会社の対応は雑だったが、あの調子ならば私以外の被害者もきっといたはず。返金金額は宿泊費一泊分だから大した金額じゃないけど、今後他に被害者を出さないためにも管理会社にはホテルの備品管理を徹底してもらいたい。
私は二度とこの管理会社の系列ホテルを利用することはない。
銀行振込で全額返金された
後日、しっかりと私の楽天銀行口座に宿泊費の全額が返金されていた。ひとまず安心だ。
今回のホテル泊は全く快適なものではなかった。故障やトラブルが発生することは致し方ないとしても、今回のホテル側の対応はサービス業としては壊滅的。少なくとも私はこのホテルを二度と利用することは無いだろう。
担当者をたらい回しにされた挙句に全額返金という結論に至った
— すずき@ゴリブロ (@suzuki_ys) January 20, 2021
言ってることがみんな違うから実際はオーナーの意見じゃなくて担当者個人の判断だったのかもしれない🤔
結論
宿泊約款を盾に宿泊契約の不履行を押し続ければOK
【まとめ】宿泊約款は必ず目を通しておく
宿泊約款は宿泊客とホテルの契約。
宿泊約款に書いてある内容を守らないということは契約の債務不履行、つまりは契約違反に当たる。
契約違反をしているから仮に裁判になったとしても勝てる確率が高いから、ホテル泊のトラブルの際は必ず宿泊約款に目を通すようにしよう。
備えがあれば憂いはない。
勝負事には負けないための下準備が必要。